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2026年8月20日 - 株式会社ヤギ 27/3期 1Q決算: 冬支度は、真夏から始まる

約8分

2026年8月3日、Hibiki Path Advisors SPC(「私ども」または「弊社」といいます。)の主要投資先の一社である株式会社ヤギ(証券コード7460、以下「当社」又は「YAGI」といいます。)が、2027年3月期第1四半期決算を発表し、その後、私どももIR取材をさせていただきましたので、その中で感じた所感を共有したいと思います。 

今回の決算をヘッドラインだけで表せば、「増収減益」です。決算発表後の株式市場も、この後半の二文字に少々敏感に反応しました。ただ、当社との意見交換を経た私どもの受け止めは、むしろ真逆です。前年同期比では確かに利益が減少した一方、売上・利益とも社内の想定を上回って進み、売上高は第1Qとして過去5年間で最高となりました。会社自身も「下期偏重の業界構造を踏まえた通期計画に対しては、想定を上回る進捗」と説明しています。 

図1:YAGI 27/3期1Q 決算

(出所:YAGI 2027年3月期1Q決算説明資料 

また、今回の「減益」ですが、円安や物流費等の影響もありましたが、それ以上に、店舗、人材、広告・販促など、将来の成長に向けた先行投資が数億円単位でかかり、これが減益の要因であると確認されています。成長のための攻めの先行投資が利益を圧迫したものの、早くも売上高の増加という形で実を結び始めています。 

特にTATRASです(図2)。TATRASのみの進捗を切り出した開示も今回初めてですが、1Qは国内外ともに力強く伸び、取材では、売上成長率は通期で想定する成長ペースを上回る幸先の良いスタートを国内外ともに切ることが出来たとのことです。新規店舗の貢献に加え、春夏商材にも売れ筋が増え、ブランド投資が売上につながり始めています。また、本番となる秋冬に向けた卸売の受注も予定通りの滑り出しとのことで、「先行投資で利益が減った」というより、その先行投資が効き始め、売上の階段を一段上がりつつある ― 私どもには、そのように見えています。秋冬への偏重が大きい事業だけに油断は禁物ながら、中期経営計画の着実な達成に向け、期待の感じられる状況です。 

図2:TATRASの売上成長の見通し

(出所:YAGI 2027年3月期1Q決算説明資料 

ダウンジャケットのブランドが、ダウンを脱いだ季節にも選ばれる。そして、日本で育ったブランドの価値が、海外のお客様にも届き始める。この二つは、私どもが連載第4回「TATRASの勝ち筋」で期待した変化です。 

さらに今回、TATRASのグローバルアンバサダーに俳優の坂口健太郎さんが就任したことも、私どもとしては興味深い一手だと感じています。坂口さんはモデルとしてキャリアを始め、『余命10年』やNetflix『さよならのつづき』などの話題作に出演する一方、近年は韓国ドラマ『愛のあとにくるもの』への出演や韓国観光名誉広報大使への就任など、海外でも存在感を築いています。PRADAのアンバサダーとしてミラノのファッションシーンにも継続的に登場し、この8月公開の主演映画『私はあなたを知らない、』はフランスとの共同製作で現地配給も決定するなど、欧州との接点も持っています。派手に主張しすぎず、柔らかさ、品の良さ、都会的な空気感を持つ ― そんな彼の立ち位置は、私どもが期待するTATRASの姿とも重なります。このように、材料はかなり揃ってきている今こそ、それらを一本の太いナラティブに束ね、「TATRASとは一体何者なのか」を世界の消費者の頭の中に残していく番だと私どもは感じます。 

第1四半期は、これまでの仕込みが、少しずつ売上という形で顔を出し始めていることは確かですが、いわば「仮縫い」状態です。現時点で見えているシルエットは決して悪くないように思えますが、真夏の今、今年の完成形を語るにはまだ少し早い時期です。しかし、YAGIの皆様におかれましては、「完成するまで静かに待っていてください」ではなく、企業としての今の姿や理想、そしてどのようなブランドアイデンティティを形作ろうとしているのかを、株式市場にもさらに積極的に見せていくことも大事なIR活動の一環です。良い服も、ハンガーに掛けたままでは、その価値は十分に伝わりません。私どもは、株主として、進化するヤギの世界観とその「株主価値最大化」の道のりを引き続き楽しみに見守りたいと思います。 

以上 

(過去の投稿) 

2026年8月6日 - 株式会社ヤギ 第5回投稿 YAGIの価値 
2026年7月23日 - 株式会社ヤギ 第4回投稿 TATRASの勝ち筋 
2026年6月29日 - 株式会社ヤギ 第3回投稿 ダウンジャケット市場のいろは 
2026年6月9日 ー 株式会社ヤギ 大量保有報告書提出と会社紹介資料公表について 
2026年5月28日 - ヤギ 歴史と強みの背景 
2026年5月14日 - ヤギ 中期経営計画2029コメント 


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