Hibiki Path Advisors Website

Equity investing and advisory business

2025年6月7日 - ひびきの株主提案にISS推奨表明

約5分

Hibiki Path Advisors(以下、「私ども」といいます。)は、投資先の一社である日本高純度化学株式会社(以下、「当社」といいます。)に対し、当社株主の共同利益を確保するべく、筆頭株主の立場から、株主提案を実施しております。本提案に対して、発行体の取締役会からは全議案への反対意見が表明されましたが、大手議決権助言会社であるインスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(以下、「ISS」)は、私どもが提案する4議案の内、以下の通り3議案(第11、12、13号議案)に関して、賛同の推奨を公開しています。また、反対する第10号議案については、私どもとして保守的と考える計算に基づく希薄化を要因とするものであり、本質的な意義等を否定するものではないと私どもとしては、考えています。

議案の詳細は、当社発行の定時株主総会招集ご通知をご参照ください。

図1:私どもの株主提案に対するISS推奨

※ISSの推奨理由に基づきHibikiの理解で纏めた内容、持ち合い株の純資産比率は2024年3月末基準

(出所:Hibiki作成)

私どもが考える今回のISSによる推奨表明のポイントは、以下の3点であると考えています。
①当社が「普通ではない高い水準 (Unusually High level)でのキャッシュ」や、「純資産の60.5%¹に及ぶ持ち合い株式(ISS基準は20%)」を有していることを、推奨の根拠にしていること
②「利益配分や自社株買いに関する株主権利の強化」は、株主に有益と明確化したこと
③低資本効率、低い市場評価を踏まえて、株主還元が求められる点を明確化したこと

図2:当社の余剰資産の状況

(出所:Hibiki作成)

また、反対推奨とされた第10号議案 取締役に対する譲渡制限付株式付与のための報酬改定等の件について、その理由は希薄化の水準が大きいことであり、私どもの提案の本質的な意義自体が否定されたものではないと考えています。(同様の希薄化の観点で、会社提案の第8号議案、第9号議案にも反対推奨を行っている点からも明らかです。)私どもとしては、株主提案の理由に記載しております通り、単年度の希薄化は1.87%程度(株主提案提出時点における計算)と限定的であり、ISSが計算の前提とする10年間最大限の発行を行う場合の希薄化率15.8%を判断の根拠とするのは保守的に過ぎるのではとの立場です。

尚、私どもの株主提案以外では、第2号議案 候補者番号1 小島智敬現代表取締役社長の再任にISSは反対を推奨しておりますが、私どもは6月7日現時点では異なる見解を維持(6月12日追記:確定内容はこちら)します。ISSの小島代表取締役への反対推奨の理由は、当社の資本配分の失敗となっています。この点、私どもは資本配分が、当社の経営陣が過去から現在まで長年充分に向き合ってこなかった重大な課題であるという点には強く賛同しますが、その責任の所在は、20年以上当社代表者としてこの課題に向き合わなかったことで資本収益性改善による企業価値の向上を怠り、後進に道を譲った今なお取締役として経営に強く関与し続ける議案番号2 候補者番号3 渡辺現取締役相談役にあると考えております。そのため、キャンペーン趣意書で示した小島智敬代表取締役社長への賛同(予定)及び、渡辺取締役相談役への反対(確定)の方針を現時点では維持するとともに、小島智敬現代表取締役社長は、もし再任された場合には、公表済みの中期経営計画の時間軸に囚われることなく、「1年間の任期中に」抜本的な資本配分の改革を実行することを主要株主として強く求めるものとします

最後に、第1号議案定款一部変更を通じた、監査等委員会設置会社への移行、第2、3、4号議案 役員の選任に関して、ISSの推奨は私どもと意見が異なる部分がございますが。当社の現在の事業規模及び経営体制・社内管理体制のままで監査等委員会設置会社へ移行することは、一般的に考えられているガバナンスの改善に必ずしもつながらないと考えております。株主の皆様におかれては、私どものキャンペーン趣意書をご一読いただき、慎重なご判断をいただければと思います。

私どもが昨日投稿しました「日本人の法意識 ― 株主の権利を2つのレンズからみる ―」にて、弊社代表がコメントさせていただいております通り、会社は本質的には株主を選ぶことが出来ず、株主から株主提案が提起されるということはその前段としてのそもそものきっかけや系譜が会社側(経営側)にあることが大半です。当社もまさにそういった状況にあるかと存じます。こういった、企業価値改善につながると考えられる建設的で本質的な株主からの問いかけに納得ができない場合、経営者は少数親密株主の下で自社の経営に集中することが可能となる非公開化を選択すべきと考えます。

改めてとなりますが、株主の皆様には、企業価値最大化のために何が適切か、冷静なご判断をいただきたく、よろしくお願いを申し上げます。日本の企業活動、及び資本市場の活性化の行く先は、皆様の議決権の行使に依拠しているのではないかと私どもは感じております。

(過去の関連する投稿)
日本人の法意識 ― 株主の権利を2つのレンズからみる ―
2025年6月3日 ー 太陽ホールディングスを巡る動向と日本高純度化学に対する私どものキャンペーンを絡めて
2025年6月1日 ー 日本高純度化学に対する筆頭株主としての公開キャンペーンの実施について
2025年5月28日 ー 日本高純度化学株式会社に対するキャンペーンに関するダイヤモンド・オンライン記事掲載
2025年5月26日 ー 筆頭株主として日本高純度化学の社外取締役に対して意見要請を実施
2025年5月22日 ー 日本高純度化学に対する株主提案コメント
2025年5月21日 ー 日本高純度化学に対する筆頭株主としての株主提案の実施について

¹2024年3月末基準


本資料の公開に際してはデータ、情報の収集の際に内容の正確性につき細心の注意を払っておりますが、その正確性を保証するものではありません。また、本資料は特定の有価証券の申込の勧誘若しくは売買の推奨または投資、法務、税務、会計などの助言を行うものではありません。