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2025年6月3日 ー 太陽ホールディングスを巡る動向と日本高純度化学に対する私どものキャンペーンを絡めて

約9分

本日、太陽ホールディングス株式会社(「THK」)の20.04%筆頭株主であるDIC株式会社(「DIC」)がTHKの代表取締役社長佐藤英志氏の取締役再任議案に対して今年の株主総会にて反対することを公表しました。これは、従前から資本市場内では評価の高かったTHKに対する大きなニュースとして受け止められております。

DIC のTHK代表取締役社長佐藤英志氏再任反対の理由として、本日(2025年6月3日)発表プレス資料内に以下のように具体的に述べられております。

図1:DICによるコメント

(出所:DICWebサイトより抜粋)

 

私どもとしても驚きを持って受け止めております。

しかしながら、皆様ご承知の通り、私どもHibiki Path Advisors(以下、「私ども」といいます。)も、THK社と近しい企業である日本高純度化学株式会社(以下、「当社」といいます。)に対し、当社株主の共同利益を確保するべく、18.19%所有(保有割合は5月22日提出の変更報告書に基づく)する筆頭株主の立場から、株主提案及びキャンペーンを実施しております。

私どもは、DIC同様に、当社に対しての18.19%筆頭株主として、「重要な業務執行が取締役に委任され、取締役会における議論やその記録が適切になされなくなるリスク、監査役としての単独での監査権限が失われる点等を通じて、かえってガバナンス水準の低下、そして渡辺取締役相談役による当社実効支配を助長する結果に繋がるリスクが高まる」といった理由から当社の監査等委員会設置会社への移行(第1号議案:定款一部変更)に完全に反対(予定)しています。

同時に、当社の企業価値向上に充分資する結果を残していないにも拘らず取締役相談役として隠然たる影響力を維持する渡辺雅夫取締役相談役(第2号議案候補者番号3)にも反対を表明(確定)しております。政策保有とされる親密先の株主様含め、全株主の皆様におかれまして、過去から現在までの当社企業価値の推移、株価推移及び業績推移を踏まえ冷静にご判断をいただきたく存じます。特に政策保有相手先と目される企業様には、事後的に私どもから直接議決権行使のご確認につきお伺いをさせていたく所存です。

尚、当社の過去業績に関して以下をご覧下さい。

図2:当社長期業績推移と資本・資産収益性

※ROE/ROAの分子は、営業利益に各年の(1-税率)を乗じて算出

(出所:Bloomberg、当社有価証券報告書等よりHibiki作成)

THKの件につき、その主要株主であるDICが述べていることと、私どもが当社の18.19%の筆頭株主として当社に求めていることに大きな差があるかどうか、株主の皆様、冷静で合理的なご判断を頂きたく、改めてお願いを申し上げます。

尚、私どもの主張は以下となります。

(参考:私どもの株主総会議案に関する主張)
<会社提案>

・第1号議案:定款一部変更 「反対(予定)」
理由:重要な業務執行が取締役に委任され、取締役会における議論やその記録が適切になされなくなるリスク、監査役としての単独での監査権限が失われる点等を通じて、かえってガバナンス水準の低下、そして渡辺取締役相談役による当社実効支配を助長する結果に繋がるリスクが高まると考えています。

・第2号議案候補者番号3:渡辺雅夫取締役相談役の再任 「反対(確定)」
理由:私どもは、私どもがキャンペーンの趣意書に挙げた経営資源の3つの不足に当社が直面しつつも、打開するための抜本的な対策を取ることが出来ない大きな理由として、MBO以降の20年以上に渡り、代表取締役として実権を握り続け、また、代表取締役退任後も取締役相談役という肩書のもと、当社の実効支配を継続していると思われる渡辺取締役相談役に責任があると考えています。今後当社が思い切った決断を行い、新たな第三の創業に向かう観点からも、これまで主導権を発揮してきた渡辺取締役相談役には、取締役の立場を退いていただき、新たな経営体制の下で経営、株主、従業員の皆様一丸となって難局を乗り越えていく仕組みが必要不可欠と感じています。

・第2号、3号、4号議案:渡辺雅夫取締役相談役以外の取締役候補の内、第2号議案候補者番号1小島智敬氏、同2号議案候補者番号6黒松百亜氏を除く8名に対し「反対(予定)」
理由:私どもは、当社が企業価値向上に向けた改革を断行するには、限定的な出身母体から継続的に登用されてきた取締役会構造を抜本的に見直すことが必要不可欠と感じています。私どもとしては、選任に賛成する小島智敬代表取締役、黒松百亜社外取締役と筆頭株主として手を取り合い、真に当社の企業価値向上に資する役員候補を選出し、臨時株主総会に諮っていただくことを期待いたします。尚、監査等委員(補欠を含みます。)の4名に関しては、適任性に対する判断が出来ないことに加え、私どもは監査等委員会設置会社への移行に反対を予定する立場であるため、選任に反対を予定します。その他4名(渡邊基氏、大畑康壽氏、川島勇氏、林博司氏)については、連綿と続く特定企業からの出身者であり、その「実質的な独立性」に疑義があるため、反対予定です。渡邊基氏については、業務執行取締役として経理財務を管掌する中で、私どもが過去数年申し上げている企業価値向上に向けた資産効率の改善、最適資本の実現を担うべきところ、十分な進展が見られないため再任については反対予定です。

尚、「予定」としている部分につきまして、私どもと当社の間で数日内に面談を実施予定です。当該面談の結果として判断に変更が生じる可能性があり、その場合は判断理由及び詳細を別途開示させていただく予定です。

<株主提案>

・第10号議案:取締役(社外取締役を除く)に対する株式報酬の強化 「賛成(確定)」
理由:私どもとしては、当社が株主共同の利益を蔑ろにした経営を続けている最大の理由は、経営陣が企業価値・株価向上を十分意識するに足る報酬設計が用意されていないからと考えております。
「企業価値・株価向上を十分意識する」という状態を実現するためには、「外部筆頭株主を含む一般株主と目線・利害を一致させる」必要があります。企業価値向上に伴う株価上昇時に経営者自らも充分な経済的利益を享受いただき、経営の失策で企業価値が毀損され株価が下落する際には自らも損失を被る、そのような攻めの報酬設計がなければ、現状当社が陥っているような、自己保身を主軸とする守りに徹した経営に終始してしまい、企業価値の向上のために必要となる、リスクをとった経営判断を下していくことができません。さらに、株主提案書の「提案の理由、議案1」部分にも記載しておりますが、当社は昨今のみならず、長期にわたり業績が低迷しているにもかかわらず、取締役(社外取締役を除く)に対する一人当たり金銭報酬額は増加の傾向にあります。営業利益及び資本収益性が低迷する中で金銭報酬が増加する報酬設計は、一般株主の利害とは完全に逆方向のインセンティブに帰結しており、看過出来るものではありません。
かかる環境下、私どもとしては、このようなインセンティブ設計を見直し、金銭報酬と同水準の株式報酬を受け取ることによって、業務執行取締役の皆様に株主と同じ目線に立ち、企業価値の向上や、株主共同の利益の追求を正に自分事として捉えながら業務を遂行いただくとともに、実現した企業価値向上の果実を株主と分かち合っていただきたいと強く希望し、本提案を上程することといたしました。

・第11号議案:剰余金の配当等の決定機関に関する定款一部変更 「賛成(確定)」
理由:後述の第12号及び13号議案、株主還元強化を上程する前提として、剰余金の配当等の決定機関に関わる定款一部変更を提案いたします。会社法第459条第1項は、同項各号において、株主総会で決議されるべき事項として剰余金の配当等を列挙した上で、これらの事項を取締役会が決定することができる旨を定款で定めることができるとするところ、当社は、同条項に基づき、定款第44条に剰余金の配当等について取締役会が決定する旨を規定しています。このように、剰余金の配当等について、会社法の原則上、本来決定権限を有するとされる株主総会の影響力を排し、取締役会に決定権限を置いております。当社との関係では、かかる定款の定めが、当社の余剰資産の状況を踏まえない恣意的な配当額の決定等につながりうるものと考えております。
私どもとしては、会社の所有者は株主であることを再確認し、会社法が「原則として株主総会で決議する事項」と定めているものは、株主総会で決議するべきであると考えます。しかるに、当社取締役会が、企業価値向上の観点から、余剰資産を踏まえた本来あるべき水準の、かつ、機動的な剰余金配当を行っているとは言い難い現状に鑑み、現行定款は、本提案の変更案と比較して株主総会の意向を排除することを目的としたものといわざるを得ず、特に当社においては、このような株主総会の決定権限を取締役会に委ねる合理性がないことから、本議案の提案をする次第です。

・第12号及び13号議案:ROE向上に向けた株主還元の強化(自己株式取得、配当の強化) 「賛成(確定)」
理由:私どもは2023年2月公開の当社との議論にも記載いたしました通り、当社の企業価値向上に向けた最大及び喫緊の課題は、過大な現預金の蓄積及び政策保有株式の維持による、資本収益率(ROE)の低迷と考えております。
私どもは、ROEの本質的な改善に向けた、早急な現預金及び投資有価証券の縮小ないし有効活用及びそれとセットとなる純資産の意図的な圧縮を目的に、その先鞭をつける観点からも、まずは有価証券の一部売却を通じて積みあがっている、現預金約76億円(一株当たり約1,313円)を活用した株主還元と、その前提としての定款の一部変更を提案するものです。

 

 

私どもの過去1か月の当社に関するキャンペーンに関しては、以下をご覧下さい。

(参考:日本高純度化学に対する公開キャンペーン)

2025年6月1日 ー 日本高純度化学に対する筆頭株主としての公開キャンペーンの実施について

2025年5月28日 ー 日本高純度化学株式会社に対するキャンペーンに関するダイヤモンド・オンライン記事掲載

2025年5月26日 ー 筆頭株主として日本高純度化学の社外取締役に対して意見要請を実施

2025年5月22日 ー 日本高純度化学に対する株主提案コメント

2025年5月21日 ー 日本高純度化学に対する筆頭株主としての株主提案の実施について


尚、本投稿は特定の有価証券の申込の勧誘若しくは売買の推奨または投資、法務、税務、会計などの助言を行うものではありません。