ひびき・パース・アドバイザーズ(以下、「私ども」)は、10月24日付で、投資先の一社である藤倉コンポジット株式会社(以下、「当社」)の森田社長および取締役会に対して、「企業価値向上施策ご提言書」を送付致しました。
当社は、藤倉善八氏の末弟である松本留吉氏が1901年に創業された、120年超の歴史を有する企業で、ゴム引布事業を源流に持ちますが、1941年には合成ゴム製品の製造を開始、1974年にはゴルフ用カーボンシャフト事業への参入を行う等、複合ゴム技術を梃に多角化を進めてきました。
現状では、最後発のスポーツ用品事業が利益のほぼ全て(25/3期セグメント利益合計の98%)を担うまでに成長しており、主力のゴルフシャフト領域では、グローバルでの競合優位性は圧倒的といえる状況になっています。2025年の4大メジャー大会の全優勝者を含む¹、世界ランキング1位のS.シェフラー氏、2位のR.マキロイ氏をはじめ²、上位10名中7名が当社商品を利用している状況であり、世界のトッププレイヤーの中で既に圧倒的な存在感と実績を有しております。日本の女子プロでも渋野日向子氏が利用するとともに³、当社のFacebookアカウントを確認すると、国内ツアーでの使用率は40%を超える水準が継続していると考えられます⁴。世界で他に類を見ないブランド力とゴルフ市場の安定的な拡大の流れを受けて、当社の業績は今後も安定的に成長する可能性が高いと感じております。
図1:2025ツアーでの当社シャフト利用率

(出所:フジクラゴルフ)
その一方で当社企業価値に目を向けると、本源的価値対比で大幅に割安に市場では評価されており、私どもはその理由を以下と考えております。
① 市場の誤解:スポーツ用品企業としての認知不足、スポーツ用品事業の成長性・収益性維持に対する不透明感等
② 経営に対する市場からの信頼感の不足:非効率的な事業ポートフォリオを維持している点、合理的な資本政策が行われていない点等に対する懐疑
これらの要因をひとつずつ解きほぐしていくことで、企業価値向上、ひいては当社の更なる成長を実現いただきたいと考え、本書簡では以下の「4つのご提言」をさせていただきました。
(1) IRの抜本的な改善(スポーツ用品事業の成長戦略の詳細開示及び事業説明会の実施等)
(2) ROE17%目標の設定及び自己資本比率60%の必達に向けた株主還元の強化(DOE12%及び3年間合計100億円弱の自己株取得)
(3) 社内取締役・従業員株式報酬の拡充
(4) 事業ポートフォリオ運営の導入
当社は、11月10日に発表された2Q決算と同時に、発行済株式総数の14.38%分の自己株消却を発表されています。このような取り組みを投資家からの信頼獲得の第一歩として、引き続き企業価値向上に向けた積極的な取り組みをいただける事を期待しております。
当社の経営陣の皆様のみならず、広く株主の皆様にも、このような意見があることをご参考にしていただき、発行体と株主との間の健全で闊達なエンゲージメントにお役立ていただければ幸いです。
【書簡】
藤倉コンポジット株式会社_企業価値向上施策ご提言書
以上
¹ Fujikura Driver Shafts Dominate All Four Majors in Historic 2025 Sweep – National Club Golfer | National Club Golfer
² ゴルフ世界ランキング 2025年度|GDO ゴルフダイジェスト・オンライン(2025年10月13日時点のランキング)
³ 渋野日向子プロが使用するアイアンシャフトの正体|フジクラ「TRAVIL」(前) | BUZZ GOLF
⁴ Fujikura/フジクラ/藤倉コンポジット株式会社 | Koto-ku Tokyo | Facebook
尚、本投稿は特定の有価証券の申込の勧誘若しくは売買の推奨または投資、法務、税務、会計などの助言を行うものではありません。
