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投資先の経営者の皆さまへの手紙

約 6 分

投資先の経営者の皆様へ

 いつも大変お世話になっております。Hibiki Path Advisors 代表取締役チーフ・インベストメント・オフィサーの清水雄也でごさいます。

 弊社の顧客口座にて、貴社の株式に投資をさせていただいております。既にお見知りおき頂いている方も多いかと存じますが、改めて自己紹介させていただきますと、弊社、私がシンガポールにて2015年の冬に創業し、日本の株式に投資をさせていただいております資産運用会社でございます。弊社の投資の考え方など、ホームページ(www.hibiki-path-advisors.com)に詳細を記載させていただいておりますので、お時間おありのときにご訪問頂けると幸甚です。初めて直接コミュニケーションを取らせていただける社長様・経営者様皆様におかれましては、ぜひ近々、直接お目にかかる機会があることを期待しております。
 
 さて、この度、“手紙”という原始的な形を利用しますが、インターネットが社会に完全に浸透したいま、全ての情報がオンラインで瞬時に世界に拡散する時代に、紙媒体でコミュニケーションをする機会が激減してしまい、反対にその価値が上昇しているように感じられるからです(少なくともこうして皆様の手の中に今あるということは、意外と効果があるのかもしれません)。Face-to-faceのliveコミュニケーションの重要性も同時に増していますが、会社を預かる皆様の時間は大変貴重ですし、勿論全ての投資家に会う訳にもいかないでしょうから、時間を選ばず、押しつけがましくもない、“手紙”、という手段でぜひこのように時々投資先の皆様にコミュニケーションを取らせていただき、あわよくば、皆様の思考回路の“サプリメント”のように感じていただけると嬉しいと思いながらキーボードをたたいております。

 今回、実は、皆様にどうしても御覧いただきたい文章がございます。William Thorndike Jrという方の著書で、The Outsidersというものです(和名は:破天荒な経営者たち)。企業価値を劇的に増加させた米国の風変りな経営者の数々の列伝なのですが、その3章に、ゼネラル・ダイナミクスという、困難な状況にあった防衛機器、航空機の製造会社をよみがえらせた、ビル・アンダースという社長と、彼を引き継いだ2人経営者たちの逸話です。

 今の日本の状況や世界の環境などに照らし合わせてみても多くの教訓に満ちているものであり、一つの「手法」もしくは「考え方」としてぜひ何等かの“ひらめき”ないしご参考にしていただけないかな、と心より願っております。後段にそのまま添付させていただいております(尚、私の好みの表現とするため出版されている邦訳に対して大幅に手を加えさせていただいております。ご了承下さい)。
 
 読み進んでいただきますと、気づかれます通り、典型的な「企業価値最大化」の議論が展開されております。いわゆる「株価を意識した経営」です。特に業界再編などの流れもありM&Aの手法も活用していますが、日本でも昨今スピンオフの税制や、株式交換の税制、さらには、リストリクテッドストックなどの上場企業を取り巻く税制変更もあり、政府の「見えざる手」は、多くの産業で合併や買収などを推進させたい意図がありそうです。企業規模の増加ではなく企業収益の改善(日本の産業全体としての競争力の向上)というテーゼでまさに今お読みいただくのに旬であると感じております。

 今、日本は国家全体としても大きな岐路に立たされております。まさに国全体“ターンアラウンド”の真っただ中であると言えましょう。国内に存在する企業の効率性、産業全体としての活力、従業員の豊かさなど、関連する多方面において今までのやりかたとは“非連続”ともいえるような転換を求められており、今後の日本は多くの分野のリーダーの一人一人の双肩にかかっていると言えます。上場企業のCEO・社長、取締役など経営陣の皆様はまさにリーダーと言えるポジションの中でも最も影響力もあり重要なポジションだと思います。日々の業務の中で忙殺されてしまうことも、決断に迷うことも、抵抗勢力に合うことなども、多々あろうかと思いますが、このビル・アンダースのように確信と勇気をもって高い目標に突き進んでいただけたら幸いです。
 
 最後に、アンダースの生き方はまさにアメリカンドリームともいえるものですが、ゼネラル・ダイナミクスの経営を3年(+会長職1年)で退き、第二の人生をアクティブに生きています。それを可能にさせたのは、企業価値の大幅な向上と、それから自ら恩恵を受ける株式報酬の設計によるものでした(そして彼はゼネラル・ダイナミクス株を今でも所有しています)。特に裕福な家庭に生まれた訳でもなく、会社を自ら創業して上場させた訳でもない彼が、ゼネラル・ダイナミクスを退任後、地域の住民のために航空博物館まで建ててしまうまでになったのは、彼の努力とその評価が株の所有を通じて彼の報酬と強力にリンクしていたからでしょう。
 
 今や、人生100年時代と言われる時代であると同時に、企業の相談役や天下りといった日本独特の継続性と連続性を重んじる人事制度も下火になり、さらに株式報酬の急激な普及もあり、日本の「経営者の成功の定義」もよい意味で劇的に変化しています。OBや相談役という先輩方に遠慮することもなく、正しい経営の判断で企業価値を大幅に向上し、その株価上昇による評価で第二の人生への大きな足掛かりにする、という、新しいキャリアプランは、過去のように創業者のみの特権ではなく、皆さまの人生の可能性を広げ、輝くものにさせるはずです。

 ここで私の言う第二の人生は決して文字通りの“引退”ではなく、別の新しい仕事(他社の社長、社外取締役)であったり、慈善活動であったり、皆様の人生経験を社会に還元していくようなものを想定しています。万が一、競合他社から貴社に買収の誘いがあり、その価格が、皆様が思う妥当な価格より大幅に高い場合、皆様が株式を十分に保有しておけば、経営者目線のみならず、株主目線で判断することも可能となりますし、その買収に応じた場合の金銭的保証にもなり、上場企業同志のM&Aと産業構造の変化を促進させる起爆剤になりうる可能性もあります。
 
 こういった様々な視点で皆様の現状と重ね合わせながら読みいただくことで、この文章が「どこか遠い国のビジネスのおとぎ話」ではなく、皆様でも十分実現可能なこと、と感じていただけるのではないでしょうか。

 暑い夏が到来しておりますが、お身体ご健康にはぜひお気をつけてお過ごしください。

平成30年7月7日

ひびき・パース・アドバイザーズ
代表取締役
清水雄也